雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒壇のような長い髪の"白雪姫"
月を想わせる白銀の髪、血のように紅い瞳、薔薇の香りを纏う"いばらの王子"
溢れ出てくる涙を止める術を、どうか教えて下さい。
溢れる涙を拭う術を、どうか教えて下さい。
「いばらの王子様、どうか、目を覚まして下さいっ・・・。」
糸車の針で死の眠りについた彼を抱き締めていると、溢れる涙を止めることは出来なかった。
どうして貴方は目を覚ましてはくれないの?
いつもなら「何を泣いているのですか?」と笑みを浮かべながら私の涙を拭ってくれるでしょう?
「わかっているでしょう?私では、貴方を・・・起こすことはっ出来ないのですよっ?」
白雪姫の運命の王子様じゃない"いばらの王子"と
いばらの王子の運命のお姫様じゃない"白雪姫"の出逢い
決して出逢うことはなかった私達だったけれど、出逢ってしまった私達は恋に落ちた
「いばらの王子様・・・っ!私を、ひっく、一人にしないでっ」
「おやおや、どうしたんだい?白雪姫」
「お・・・母様!?」
薄い笑い声と共に現れたのは、煌びやかなドレスを身に纏ったお母様だった。
「そこに眠っているのは、いばらの王子じゃないかい?
あぁ、王子は呪いにかかっていたんだねぇ。それなら、魔法の鏡に頼んで王子を死の眠りから覚まさせればいい」
「そんなことが・・・、出来るのですか?」
「本当だとも。ただし、その代価として、お前は命を落とすことになるよ?」
光が見えた気がした。でもそれは、怪しく光る黒い一筋の光
いばらの王子様ごめんなさい、私はきっと貴方の運命のお姫様に嫉妬しています。
きっと御伽噺のように、愛するお姫様の唇で貴方は目覚めるはず・・・だけどそれは私ではない。
いくら貴方の唇から愛の言葉を紡がれても、いつかは私じゃないお姫様のもとにいくのが耐えられなかったのです。
醜い私を見ないでください、卑怯な私をお許しください。
私は、貴方の唇から他の女性を甘く囁く言葉を・・・その様を見たくないのです
「私の命で、いばらの王子様が目を覚ますのなら・・・この命差し上げます。」
瞳に映りたかった。
(たとえ私が命を落としても、貴方が甦るのなら構わない。ただ、もう一度だけ貴方の瞳に映りたかった)
齧りついたのは、毒林檎じゃない。